【アクリル】夏には暑い?生地の特徴やメリット・デメリットなどを紹介

シーズン・生地
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「アクリル」というと、コロナ禍によって仕切りに使うアクリル板をイメージする方が多くなったと思います。

しかしそれとは別に、アクリル繊維は多くの服などで使用されており、私たちの生活に欠かせないものになっています。

今回は、アクリル繊維とは何か、アクリル板とは違うのか、どのような特徴があるか、取扱いの注意点は何かなど、しっかりと解説していきます!

最後に、ルームウェアなどにもオススメのアクリル生地のアイテムを紹介しますので、そちらもチェックしてみてください。

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アクリル繊維とは?

原料と作り方

アクリルとは、合成繊維に分類される化学繊維で、ポリエステルやナイロンと並んで3大合成繊維と言われており、ウールに似た生地であることで知られています。

【参考】ポリエステルとは?生地の正体やメリット・デメリット・注意点などを解説
【参考】<ナイロン>夏には不向き?生地の特徴やポリエステルとの違いなどを解説

そんなアクリルは、石油が原料となるアクリロニトリルを使用して作られている繊維です。

セーターなどでよく使われているアクリルですが、石油が原料になっているなんて驚きですよね。

紡糸と呼ばれる工程で、液状の原料を小さな孔(ノズル)から圧力をかけて押し出し、糸の形状にしてアクリル繊維は作られています。

ノズルの形状によって、手触りや風合いの異なるさまざまなアクリル繊維を生み出すことも可能になっています。

ウールとの違い

ウールとは、主に羊毛から作られた、動物繊維に分類される天然繊維です。

アクリルはウールに似せて人工的に作られた化学繊維ですが、その成り立ちが大きく異なるポイントになります。

しかし、似せて作られた繊維ということもあり、同じようなデザインの服を作ると、アクリル製かウール製か見分けることはなかなか難しくなっています。

見た目の差は非常に少ないアクリルとウールですが、機能面などでは異なる点が複数あります。
こちらは、後述するアクリルのメリット・デメリットで改めて紹介していきますので、そちらをご参照いただければと思います。

アクリル板との違い

さまざまな合成樹脂や成分を一まとめに「アクリル」と言うことが多く分かりづらくなっていますが、衣類に使うアクリル繊維と、アクリル板は別物です。

具体的には成分が異なっており、衣類に使うアクリル繊維の成分はポリアクリロニトリル、アクリル板の成分はポリメタクリル酸メチルとなっています。

成分を聞いても分かりづらいとは思いますが、似て非なるものとご理解いただければと思います。

アクリル繊維の特徴

アクリル生地には、たくさんのメリットがありますが、少し気になるデメリットもあります。

特徴を理解しておくことで、より効果的に利用・活用していくことができますので、それぞれしっかりチェックしてください。

メリット

ふんわり柔らかく暖かい

アクリルはウールのように、見た目も肌触りもふんわりと着ることができる繊維です。

ウールのような生地を作るためには、生地内に空気を多く含む必要がありますが、それを実現するための鍵が、バルキー糸(嵩高加工糸)です。

アクリルの中には、熱で収縮しやすいバルキーアクリルという繊維があり、その繊維と収縮の少ない繊維を混紡した(編み紡いだ)後、熱処理でバルキーアクリルを収縮させたものをバルキー糸(嵩高加工糸)と言います。

熱処理するとバルキーアクリルのみが収縮、もう一方の繊維がループ上にふくらむことで、毛糸のように嵩(かさ)の高い糸ができます。
それによって、ウールのように見た目も肌触りもふっくらと柔らかい生地が作られています。

また、バルキー(嵩高)性を持たせた生地は空気を含むことができるため、アクリル製の生地は保温性があるものとなりますが、ウールはさらに保温性が高い生地であると言われています。

アクリルはバルキー(嵩高)性があり柔らかく暖かい。ウールはさらに暖かい。

丈夫で長持ちし、シワにもなりにくい

アクリルは、繊細な天然繊維のウールと比べて強度が高く、引っ張りなどに対しても耐久性を発揮します。

また、ウールと異なり、日焼けや色落ち、カビ、虫食いなどの心配がありませんので、丈夫に長く着用することができます。

一方、ウールと同様に弾力性に富んでいるためシワになりにくい特徴も。
弾性回復力に優れているため、多少のシワであれば元に戻ります。

強度が高く、カビたり虫食いで穴が空いたりもしない。シワにもなりにくい。

ウールよりも安い

アクリルは世界中で大量に生産されている化学繊維ですので、ウールよりも安く流通しています。

最近では、フェイクファーとして使われることも増えています。

流通量が多くウールよりも安価。

発色性が良く、色落ちの心配も少ない

アクリルは、染色するとキレイに発色する繊維と言われています。
したがって、カラーバリエーションが豊富でデザイン面のメリットが大きい繊維です。

また、染色堅牢度が非常に高いとされており、日焼けや色落ちしづらく、色合いを長く維持することができます。

発色性が良くデザインが豊富。色合いを長く維持できる。

乾きやすい

吸湿性が低い特徴があるため、水に濡れても乾きやすくなっています。

アクリルは、保温性が高いという特徴から寒い冬シーズンに着られることが多いですが、気温が低く日照時間が短い冬でも洗濯後に乾きやすいのは大きなメリットと言えるでしょう。

吸湿性が低いので洗濯後や寒い冬でも乾きやすい。

デメリット

ベタつきやすい

アクリルは、ウールと異なり吸湿性が低くなっています。

水分をほとんど吸わないため、メリット「乾きやすい」の裏返しで、汗をかいたりした場合にはベタつきやすく不快に感じるかもしれません。

したがって、着用する際にはインナーを着るなどの工夫が必要です。

吸湿性がなく汗をかいたりするとベタつきやすい。

毛玉(ピリング)が発生しやすい

アクリル素材のアイテムは、ピリングと呼ばれる毛玉に悩まされることが多いです。

アクリルは繊維が太くて強いので、どうしても摩擦によって毛玉が発生しやすくなっています。
また、ウールと比べて取り除きにくいというデメリットがあります。

下の写真は、実際に着用しているアクリル100%の服の袖部分ですが、非常に多くの毛玉が発生しています。

服のデザインにはよっては毛玉が古着感を演出してくれることはありますが、毛玉が気になる方はこまめに取り除くしかなく、ケアを手間に感じることはあるでしょう。

摩擦による毛玉が発生しやすくケアに手間を要す。

静電気が発生しやすい

アクリルは、摩擦によって静電気が発生しやすい特徴があります。

乾燥していると静電気が発生しやすいとされているところ、アクリルは吸湿性が低い点もその原因と考えられます。

静電気除去ブラシを使用することで、静電気の発生を抑えることはできますが、完全に抑えることは難しいこと、ケアに手間を要すことから、多少ストレスに感じる方はいるかもしれません。

静電気が発生しやすい。それを防ぐには手間がかかる。

熱に弱い

熱に弱いと言っても、普段着として着用する分には特に問題ありません。

ただし、190℃あたりから繊維が軟化するとされていますので、後述しますが、乾燥機やアイロンの使用は控えた方が良いでしょう。

熱に弱いので、乾燥機やアイロンの使用は控えた方が良い。

おすすめのシーズン・主な用途

おすすめのシーズン

アクリルは、ふんわりと柔らかく保温性に優れた生地であることから、秋冬の寒いシーズンがおすすめの着用時期になります。

また、保温性に優れるだけでなく吸湿性がないことから、汗ばむ夏などにはあまり適していないとされています。

まだ肌寒い春先であれば十分着用は可能ですが、ふっくらと柔らかい風合いの特徴から、薄めの生地や春らしい淡いカラーなど、デザインに気を付けないと季節感を損ねてしまうので、注意が必要です。

主な用途

アクリルはウールに似せて作られた繊維ですので、ルームウェアのみならず多くの衣類に使われています。

具体的には、ニット製品、カットソー、靴下などになります。

なお、アクリルとは似て非なる繊維で、「アクリル系」繊維(2022年1月~「モダクリル」に改称)と呼ばれるものがあります。

アクリルがポリアクリロニトリルを85%以上含むのに対し、モダクリル(アクリル系)のポリアクリロニトリル含有率は35%~84%であり、さらに塩化ビニルまたは塩化ビニリデンなどを含んでいます。

そのため、モダクリル(アクリル系)は難燃性が高い特徴があるため、カーテンやカーペット、毛布などに多く使われています。

取扱いの注意点

洗濯方法は?

洗濯方法については、洗濯表示を見て、まず①家庭での洗濯が禁止じゃないかを確認し、②禁止じゃなければ手洗いと洗濯機のどちらで洗うべきかを確認してください。

洗濯機で洗う場合も、そのまま洗濯機に放り込むことはせず、繊維が傷むのを防ぐためにネットに入れるようにしましょう。

また、アクリルは毛玉が発生しやすい繊維ですので、裏返して洗うこともオススメです。

一方、手洗いの方法は何となく想像はできても、あまり慣れていない方が多いと思います。

アクリルの洗濯方法を分かりやすく説明してくれている動画がありましたので、手洗いをする際にはそちらを参考にしてみてください。

乾燥機OK?

アクリルは、洗濯によって生地が縮む心配は少ないですが、熱には弱くなっていますので、乾燥機の使用はNGです。

熱によって繊維が傷み、変形などの悪影響が発生する可能性があります。

アクリルは吸湿性が低く、濡れても乾きやすい生地なので、焦って乾燥機を使わないよう注意しましょう。

干し方は?

アクリル生地の服は、平干しネットを使って平干しするか、お腹の部分で折って竿にかけるなどして干すようにしましょう。

アクリルは伸びやすい繊維ですので、ハンガー干しは避けるようにしてください。

アイロンがけOK?

100℃前後の低温であれば、アイロンがけも可能です。

しかし、繰り返しになりますがアクリルは熱に弱い繊維ですので、高温でのアイロンがけは控えてください。

服の形が変わってしまったり、繊維が溶けてテカテカになってしまう可能性がありますので、十分に注意しましょう。

アクリル生地のおすすめアイテム

さまざまなメリット・デメリットがあるアクリル繊維ですが、伸縮性があったり、身幅にゆとりのあるカジュアルテイストのアイテムが多いため、ルームウェアやワンマイルウェアにもオススメです。

こちらの記事では、メンズのルームウェアやワンマイルウェアにオススメのアイテムを紹介していきますので、ぜひチェックしてみてください!

【参考】暑い夏におすすめのメンズルームウェア!涼しい生地のオシャレなアイテムを紹介!
【参考】<スウェットデニム>ルームウェアやワンマイルウェアのボトムスにオススメ!

COENカタアゼクルーネックニット

有名ファッションブランド「COEN」のクルーネックニットです。

アクリル100%の生地で、春先や秋口の肌寒いシーズンにピッタリのアイテムとなっています。

ドロップショルダー型のアイテムで、腕回りや身幅にゆとりもあるので、非常に楽に着用することができると思います。

清潔感のあるアイテムで幅広いシーンに応えられるアイテムですので、ぜひチェックしてみてください!

夏ニットベスト

クルーネックのアクリル100%ニットベストです。

重ね着を前提としたベストなので、ニットで心配なチクチクも感じませんし、アクリルのデメリットである吸湿性も低さも気になりません。

身幅に余裕のあるオーバーシルエット気味なデザインなので、重ね着しても着ぶくれしないのも嬉しいポイント。

洗濯機が使用できるイージーケアな点もメリットですし、カラーバリエーションも豊富なのでお好みのアイテムをお選びいただけると思います!

ビッグシルエットカーディガン

カジュアルウェアの代表格、アクリル100%カーディガンです。

伸縮性のある生地に、ゆったりとしたビッグシルエットで、非常に楽に着用することができるアイテムです。

カーディガンのメリットで脱ぎ着がしやすく寒暖差に対応しやすいのもメリット。春・秋・冬とロングシーズンの着用が可能です。

また、アクリルのメリットですが、カラーバリエーションがとても多いアイテムになっていますので、ぜひお気に入りのカラーのアイテムを選んでみてください。

半袖サマーニットポロシャツ

アクリル100%のボーダーニットポロです。

秋冬シーズンを中心に活躍するイメージが強いアクリル素材のアイテムですが、こちらはニットながらもさらっとした麻タッチの素材感で清涼感もあり、夏でも着用可能になっています。

定番のボーダーでスッキリとした印象のデザインになっており、さまざまなアイテムとの相性が良く楽に着こなすことができオススメです◎

まとめ

今回は、さまざまな衣類で活躍するアクリル繊維について解説していきました。

よく見聞きすることはあっても、実際にどんな繊維か知らなかった方もいらっしゃったかと思います。

アクリル生地の服は、秋冬を中心に着るシーズンを選ぶイメージが強いかと思いますが、アイテムによっては春はもちろん、夏に着られるものもあります。

メリット・デメリットがはっきりした個性的な繊維ですので、特徴をしっかり把握した上で、服を選んだり着たりすることが非常に重要です。

迷うことがあったら、こちらの記事を改めてチェックしてみてくださいね。

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