「甚平」(じんべい)というと、どのようなものを想像されるでしょうか。
花火大会などで男性が着ているイメージが強いという方も多いのではないでしょうか。
しかし、ご存知の方も多いと思いますが、「甚平」は、日本の伝統的なルームウェアの一つであり、花火大会のようなイベント時などに限らず、日常的に着用が可能なアイテムです。
今回は、夏のおすすめルームウェアである「甚平」について、その正体や、作務衣との違いを紹介していきます。
甚平とは?
甚平は、日本の伝統的な部屋着の一つで、「甚兵衛」と表記されることもあります。
花火大会などで見かけることが多く、若い人でルームウェア使いしている人は多くないかもしれませんが、古くから「くつろぎ着」としての役割を担ってきたアイテムです。
主に男性や子どもが着用することが多く、夏用のアイテムとして重宝されています。
上下セパレートのセットアップになっている服で、半袖半ズボンの夏仕様な形である点が特徴の一つです。
帯は使用せず、上着に縫いつけられた付け紐を結んで着用するので、簡単に着ることができます。
また、より涼しく過ごせるようにするための工夫で、ボディ部分と袖部分の間がタコ糸で編まれており、肩のあたりに隙間が空いています。
最近は、タコ糸で編むのではなくレースになっているものが多いようですが、いずれにせよそれによって風通しが良くなり、快適に過ごせるようになっています。
作務衣との違い・浴衣との違い
甚平について、何となくどんなアイテムかお分かりの方は多いと思いますが、似たアイテムである作務衣や浴衣との違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、甚平と、作務衣や浴衣との違いについて解説していきます。
形状
上下セパレートか繋ぎか
先述のとおり、甚平は上着とズボンがセパレートになっています。
作務衣も甚平と同様に上下セパレートになっていますが、浴衣は上下がセパレートになっておらず一繋ぎになっています。
前開きの留め方
先述のとおり、甚平は上着に縫いつけられた付け紐を結んで着用します。
作務衣も甚平と同様に付け紐を結んで前開きを留める仕様になっていますが、浴衣は着物のように帯を巻いて留める仕様になっています。
袖(そで)や裾(すそ)の長短など
ここまで甚平と作務衣は同じ特徴になっていましたが、決定的に異なるのが袖や裾の長短です。
甚平は上着が半袖、下はステテコのような半ズボン型であるのに対し、作務衣は長袖長ズボンになっていることが一般的です。
【参考】ステテコとは?特徴やオススメのアイテムを紹介
他方、浴衣の袖は長めで、裾も長く踝(くるぶし)のあたりにまで伸びています。
また、浴衣の袖には袂(たもと。和服のそでの下の袋状の所)が付いていますが、甚平や作務衣には袂が付いていません。
用途
元々、甚平と作務衣は、いずれもルームウェアとして着用されており、浴衣は入浴時やその前後によく着用されていました。
しかし、現在では、いずれも夏の花火大会やお祭りなどで着用される機会が多くなっています。
浴衣は、湯上りで涼むために軽い外出をするようなことはありましたが、現在は、浴衣だけでなく、甚平や作務衣も外出着として一般的に受け入れられています。
なお、作務衣には作業着としての側面もあるため、甚平や浴衣よりも用途が多く、そば打ちや陶芸、旅館の仲居さん、飲食店の店員さんなど、さまざまなシーンで見かけることがあると思います。
シーズン
甚平や浴衣は、涼しく快適に過ごせるアイテムのため、暑い夏シーズンに着用されるアイテムとなっています。
他方、作務衣は夏にも着用されますが、長袖長ズボンであることもあり、オールシーズン着用されています。
素材・生地
甚平は、暑い夏に涼しく着るためのアイテムなので、麻と綿の混紡や、麻100%素材の生地が多くなっています。しじら織りになっている綿100%素材の生地のものもあります。
作務衣は、夏用であれば甚平と同様に麻のアイテムもある一方、綿もありますが、幅広いシーズンで着用することが想定されるため、甚平よりも生地が厚めだったり、逆に非常に薄い生地になっていたりします。
また、冬向けのアイテムとして、中綿入れやフリース仕様のアイテムがあるなど、バリエーションが多くなっています。
浴衣は主に綿でできていますが、最近では麻やポリエステルでできているものもあるようです。
まとめ
今回は、甚平がどのようなアイテムであるかを紹介するとともに、似たアイテムである作務衣や浴衣との違いについて解説してきました。
甚平は、花火大会や夏祭りに男性が着ているイメージが強いと思いますが、元々は和風のメンズルームウェアと言えるくつろぎ着です。
花火大会などにも着ているように、ルームウェアとしてだけでなく、ワンマイルウェアとしてもオススメのアイテムです。
暑い夏を快適に過ごすために、少しでも涼しく感じられるよう生地や形状に工夫が施されていますので、ぜひ夏には一度お試しいただければと思います。